お金にはさまざまな受け取り方があります。サラリーマンの場合は毎月会社からお給料を受け取っている方がほとんどだと思います。
しかし、不動産を貸し付けている場合の家賃収入や副業での収入、保険金、資産運用の利益、退職金、年金など、他にもお金を受け取る方法は沢山あります。もちろんこれらも収入のひとつなので所得税が課されます。
その中でも、同じ金額だけど受け取り方によって所得税の金額が異なる場合があるのをご存知でしょうか?今回は、お金の受け取り方によって変わる所得税について。所得税の仕組みから計算方法、所得の種類、受け取り方によって所得が変わるお金などについて解説します!
少し工夫して受け取り方を変えるだけで税金を軽減できる可能性があるので、損をしないようにしっかり学んでおきましょう!
所得税の仕組み
税金とは、国や都道府県、市区町村などを運営するために必要なお金のことで、このお金を居住者で負担するためにさまざまな方法で徴収されています。
税金には様々な種類がありますが、最も身近で毎年支払っているものに所得税があります。所得税は毎年の収入に対して定められた計算方法で算出されており、1年間の収入が多いほどたくさんの所得税を支払うことになります。
では、日本の所得税はどのような方法で計算されているのでしょうか。
所得税の計算法
簡単な所得税計算の流れは次のようになっています。
- 10種類の各所得(総合課税のみ)を合算して『総所得金額』を計算する
- 『総所得金額』から『所得控除』を差し引いて『課税総所得金額』を計算する
- 『課税総所得金額』に税率をかけて『算出税額』を計算する
- 『算出税額』から『税額控除』を差し引いて実際に支払う税金額を計算する

詳しい計算方法は以下の記事をご覧ください。
所得税の計算は、まず各所得を合算します。ただ、所得にはさまざまな種類があり、各所得を算出するにもそれぞれの計算方法があります。では、所得にはどんなものがあるのでしょうか。
所得について
お金にはさまざまな受け取り方があります。例えば、
- 銀行に預けた預金の利子
- 株式を所持している際の配当金
- 不動産を貸し付けている場合の家賃収入
- 個人事業主やフリーランスがお客さんから受け取る報酬
- 毎月の労働に対するお給料
- 使わなくなったものを売却した時の利益
- 保険を解約して受け取る解約返戻金
- 社会保険から受け取れる年金
- 退職金
などなど…
すべて同じお金ですが、これらは税金を計算する上で『○○所得』という名前で種類が分類されており、所得は全部で10種類あります。
所得は、受け取った金額(収入)=所得とはなりません。収入から所得を計算するには各所所得で計算方法があります。
その計算方法によっては、他に比べると税的に有利になる場合があります。また、受け取り方によって所得が異なる場合もあるんです。
つまり、受け取る方法を工夫することによって所得を選択し、支払う所得税の金額を軽減することができます。
受け取り方によって所得が異なるお金
では、受け取り方によって所得が異なる場合を紹介していきます。
身近なものでは次のようなお金が該当します。
- 生命保険の保険金
- 確定拠出年金の受け取り
生命保険金
生命保険には様々な種類があり、死亡や生存、医療費の保障などがあります。
今回紹介するのは『生存保障』に関する保険金です。生存保障とは、一定の期間に生存している場合に保険金が受け取れるというもので、具体的には個人年金保険や養老保険などがあります。
保険の商品は保険会社によってさまざまな商品がありますが、その中でも受け取り方を『年金形式』と『一時金』で選択できるような商品があります。
実はこの受け取り方によって所得が異なるのです。
- 年金形式 ⇒ 雑所得
- 一時金 ⇒ 一時所得
雑所得の計算方法
年金受け取りの場合は雑所得に該当します。
雑所得とは、
利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。(引用元:雑所得|国税庁)
雑所得は、その中でも『公的年金等の雑所得』と『公的年金等以外の雑所得』の2つの種類に分けることができ、それらを合算することで雑所得を算出します。
雑所得 = 公的年金等の雑所得 + 公的年金等以外の雑所得
個人年金保険などの生命保険から受け取る年金は『公的年金等以外の雑所得』に分類され、次の式で計算されます。
公的年金等以外の雑所得 = 総収入金額 - 必要経費
(参考:雑所得|国税庁)
一時所得の計算方法
一時金での受け取りの場合は一時所得に該当します。
一時所得とは
営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。(引用元:一時所得|国税庁)
一時所得の金額 = 総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除額(最高50万円)
(参考:一時所得|国税庁)
どっちがお得?
年金形式の受け取りには
- 毎年に分けて計画的に受け取れる
- 受け取っていない部分は保険会社が運用してさらに増える可能性がある
といったメリットがあります。
そして一時金受け取りの場合には
- 受け取り後には全額を自分で自由に使うことができる
- 所得の計算時に特別控除(50万円)が適用され、一時所得の1/2が他の所得と合算されるため税金的に有利
といったメリットがあります。
所得税の観点からは一時所得の方がお得にはなりますが、その後のお金の使い方や運用の方法によってどちらを選択するのかはその人次第です。現状と将来のライフプランを考慮して選択しましょう。
確定拠出年金(企業型確定初出年金・iDeCo)
確定拠出年金には
企業が従業員の老後の資金準備として実施している企業型確定拠出年金と
個人が自分で老後の資金準備の為に積み立てる個人型確定拠出年金(iDeCo)の2つがあります。
これらは、拠出の仕方(掛け金の積み立て方)はそれぞれ異なりますが、受け取り方はほとんど同じで『年金形式』か『一時金』で受け取ることができます。ただ、保険金と同様に確定拠出年金に関しても受け取り方によって分類される所得が異なります。
- 年金形式 ⇒ 雑所得
- 一時金 ⇒ 退職所得
雑所得の計算方法
確定拠出年金を年金形式で受け取る場合、所得は雑所得に該当します。
雑所得は保険金の年金形式受け取りで説明したように、『公的年金等の雑所得』と『公的年金等以外の雑所得』の2つに分類されます。
ただ、確定拠出年金の場合は生命保険の年金とは異なり、『公的年金等の雑所得』に該当します。公的年金等の雑所得なので社会保険の国民年金や厚生年金による所得と同じ分類となります。
公的年金等の雑所得 = 収入金額 - 公的年金等控除額
(参考:雑所得|国税庁)
退職所得の計算方法
確定拠出年金を一時金で受け取った場合には退職所得に該当します。
退職所得の計算時には『退職所得控除』を利用することができます。さらに退職所得は収入金額から退職所得控除を差し引いた金額を1/2して算出します。
退職所得の金額 = (収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2
(参考:退職所得|国税庁)
【退職所得控除の計算方法】
| 勤続年数 | 退職控除額 |
| 20年以下 | 40万円×勤続年数 (80万円に満たない場合は80万円) |
| 20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
どっちがお得?
年金形式の受け取りには
- 毎年に分けて計画的に受け取れる
- 受取っていない部分は運用してさらに増える可能性がある
- 公的年金等控除が使える
というメリットがあります。
そして一時金受け取りの場合には
- 受け取り後には全額を自分で自由に使うことができる
- 所得の計算時に退職所得控除が適用され、さらに1/2した金額が所得となる。
確定拠出年金の場合、所得税の観点からは『年金形式』でも『一時金』でも各控除を使えるというメリットがあります。ですので、実際に受け取れる公的年金や退職金を考慮してより有利に受け取れる方を選択しましょう。
また、保険金と同じように現状と将来のライフプランを考慮して選択しましょう。
ポイント
最後に、受け取り方によって異なる所得税のポイントをまとめます。
- 所得税は1年間の収入から所得を計算して算出する
- 所得には受け取り方によって10種類ある
- 所得によって計算方法が異なる
- 保険金や確定拠出年金は受け取り方を変えることによって所得も変わる
- 保険金の場合は『年金形式』⇒「公的年金等以外の雑所得」、『一時金』⇒「一時所得」
- 確定拠出年金の場合は『年金形式』⇒「公的年金等の雑所得」、『一時金』⇒「退職所得」
- 選択方法としては、税金面を考慮しながらもその後のライフプランに合っている方を選択したい
最後に
今回はお金の受け取り方によって所得税を軽減する方法について紹介しました。
所得によって計算方法が異なり、その所得は受け取り方によって変わるという事を理解していただけましたでしょうか?税金以外にもその時の金銭状態や運用経験、将来のことなど、さまざまなことを考慮して最も損をしない選択ができるようにしましょう!














(参考:国税庁|所得の種類と課税のしくみ)