現代のように超低金利な世の中では銀行にお金を預けておくだけではほとんど増えません。また、物価の上昇を考慮するとモノに対するお金の価値が減少していく可能性もあります。
最近ではサラリーマンの方でもお金を増やすために資産運用を自分で行う方が増えてきています。資産運用で利益がでると、その利益に対して所得税が課されます。資産を運用する口座の種類によっては利益の約20%が税金として引かれてしまうこともあります。
そこで利用できる便利な制度がNISAです。NISAとは、非課税で資産運用ができる非常に便利な制度のことです。
今回はそのNISAについて、資産運用での課税の仕組みから、資産運用に必要な口座の種類、NISA口座の種類や特色について解説していきます!
税金を軽減できる国の制度をうまく活用してかしこく資産形成を行っていきましょう!
資産運用の課税
所得税とは、その人が1年間に得た所得に対して課される税金のことで、お給料はもちろんのこと資産運用での利益に対しても税金が課されます。
ただ、お給料として得たお金は10種類の所得の中でも『給与所得』となりますが、資産運用で得た所得は別の所得となり、税金の計算方法も異なります。
資産運用で得られる所得の種類
資産運用で得られるお金は主に2種類の所得に分類されます。
資産運用での利益には
- キャピタルゲイン
- インカムゲイン
の2つの利益があり、
『キャピタルゲイン』とは主に『売買益』のことをいい、1000円で購入したモノを1100円で売却すると100円のキャピタルゲインが手に入ることになります。
『インカムゲイン』とは、資産を保有していることで一定の期間の間に安定的に得られる利益のことをいいます。株式投資などでは『配当金』がインカムゲインとなります。
そして、『売買益』と『配当金』ではそれぞれ所得が異なり、次のようになります。
- 売買益 ⇒ 譲渡所得
- 配当金 ⇒ 配当所得

株式等の譲渡所得
譲渡所得とは、
土地、建物、株式等、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得を譲渡所得といいます。(引用元:譲渡所得|国税庁)
譲渡所得の中でも株式等(株式や債券、投資信託)を譲渡した場合に得られる所得の課税方法は『分離課税』といい、他の所得とは合算せずに個別で所得税を計算します。
株式等に係る譲渡所得の中でも
- 上場株式等に係る譲渡所得
- 一般株式等に係る譲渡所得
に分類されますが、税率はどちらも20%(所得税15%、住民税5%)です。
配当所得
配当所得とは、
株主や出資者が法人から受ける剰余金や利益の配当、剰余金の分配、基金利息、投資法人からの金銭の分配又は投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外のもの)及び特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得をいいます。(引用元:配当を受け取ったとき(配当所得)|国税庁)
上場株式等に係る配当所得等については、
- 総合課税方式 ⇒ 他の所得と合算して所得税を計算する方式(確定申告あり)
- 申告不要方式 ⇒ 確定申告をせずに源泉徴収で課税関係を終了させる方式
- 申告分離課税方式 ⇒ 他の所得と合算せずに個別で所得税を計算する方式(確定申告あり)
の3つの課税方式があり、自分で選択することができます。
| メリット | デメリット | 税率 (所得税) | |
| 総合課税方式 | 配当控除が適用できる | 上場株式等の譲渡損失と損益通算できない 税率が高くなる可能性がある | 5~45% |
| 申告不要方式 | 源泉徴収で課税関係が終了する | 配当控除や譲渡所得との損益通算が適用できない | 15% |
| 申告分離課税方式 | 上場株式等の譲渡損失と損益通算できる | 配当控除が適用できない | 15% |
資産運用の口座にはいくつか種類がある
証券系の資産運用を行うには、証券会社などの金融機関に口座を開く必要があります。その口座に資産運用に使用するお金を入金し、そのお金で金融商品を購入するイメージです。
さらにその口座には大きく分けて3つの種類があり、所得税の計算法に関しての違いがあります。
- 一般口座
- 特定口座
- NISA口座
一般口座
一般口座とは、特定口座やNISA口座で管理していない上場株式等を管理する口座のことです。
一般口座で管理している資産については投資家自らが1年間の譲渡損益を計算して確定申告をする必要があります。
特定口座
特定口座では一般口座と違い、自分で譲渡損益を計算する必要が無く、金融機関が確定申告に必要な「年間取引報告書」を作成します。
さらに、特定口座には
- 源泉徴収あり
- 源泉徴収なし
の2種類から選択することができ、
『源泉徴収あり』を選択すれば確定申告そのものが原則不要となります。
逆に『源泉徴収なし』を選択すれば自分自身で確定申告を行う必要があります。
税金が非課税になるNISA口座
NISA口座とは、その口座内で、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる口座です。
イギリスのISA(Individual Savings Account)をモデルにした日本版ISAとして、NISA(Nippon Individual Savings Account)という愛称がついています。
一般口座や特定口座では利益に対して所得税と住民税を合わせて20%の税金が徴収されていましたが、このNISA口座を利用することによって非課税で運用ができます。さらにNISAには次の3つの種類があり、1人につきどれか1つの口座を開設することができます。
- NISA
- つみたてNISA
- ジュニアNISA
NISA
NISAは日本に住んでいる20歳以上の人が利用できる口座で、株式や投資信託などから得られる『譲渡益』や『配当金』などが非課税になります。
新規投資額で毎年120万円を上限に利用することができ、5年間分の運用利益が非課税になります。
更に、毎年新しく口座を開設することが可能なので毎年120万円分の新規投資金額から得られる利益を非課税にすることができます。
ただ、今のところNISAは2023年までの制度とされているので新規に金融商品の購入ができるのは2023年までとなります。それ以降には新NISAが誕生し、これまでのNISAとつみたてNISAが混ざったような制度になります。
つみたてNISA
つみたてNISAは、NISAに比べて少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
つみたてNISAは投資対象の金融商品が限られており、
- 手数料が低水準
- 頻繁に分配金が支払われない
などの特徴があります。長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されており、投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっています。
NISAと同じく日本に住んでいる20歳以上の人が対象で、毎年新しく口座を開設することができます。ただ、1年間に非課税となる投資可能金額と非課税期間が異なり、つみたてNISAの場合は年間40万円の積み立てを20年間非課税で行うことができます。
NISAとつみたてNISAはどちらか片方しか選択することができませんが、1年に1度だけどちらかに変更することができます。つみたてNISAにも制度の期間が設けられており、新規の購入は2037年までとなっています。
ジュニアNISA
ジュニアNISAは日本に住んでいる0歳~19歳の人が利用できる制度で、口座開設者本人(未成年者)の二親等以内の親族が運用管理者となることができます。
新規投資額で毎年80万円を上限に利用することができ、5年間分の運用利益が非課税になります。
本人が18歳になるまでは払戻しに制限があり、口座開設者本人である子や孫が18歳である年の1月1日以前に引き出すと、原則としてそれまでの運用益に課税され、ジュニアNISA口座は廃止されることになります。
ただ、今のところジュニアNISAは2023年までの制度とされているので新規に金融商品の購入ができるのは2023年までで、それ以降は廃止されるのが決定しています。
各NISAの違い
| NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA | |
| 利用できる方 | 日本に住んでいる20歳以上の方 | 日本に住んでいる20歳以上の方 | 日本にお住まいの0歳~19歳の方 |
| 非課税対象 | 株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益 | 一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益 | 株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益 |
| 口座開設可能数 | 1人1口座 | 1人1口座 | 1人1口座 |
| 非課税投資枠 | 毎年120万円 | 毎年40万円 | 毎年80万円 |
| 非課税期間 | 最長5年間 | 最長20年間 | 最長5年間 |
| 投資可能期間 | 2014年~2023年 | 2018年~2037年 | 2014年~2023年 |
NISAのポイント
- 資産運用で得た利益には所得税がかかる
- 株式等での資産運用には『売買益』のキャピタルゲインと『配当金』のインカムゲインがある
- 『売買益』は株式等の譲渡所得に分類される
- 『配当金』は配当所得に分類される
- 株式等の資産運用をする場合には証券会社などの金融機関に口座を開設する必要がある
- 口座には『一般口座』・『特定口座』・『NISA口座』の種類がある
- NISA口座での一定金額までの運用益は非課税となる
- NISAにも非課税になる金額と運用期間、投資家の年齢によって『NISA』・『つみたてNISA』・『ジュニアNISA』の3つの種類がある
- NISAは年間の新規購入金額が上限120万円までで、その5年間分の運用益が非課税となる
- つみたてNISAは年間の新規購入金額が上限40万円までで、その20年間分の運用益が非課税となる
- ジュニアNISAは年間の新規購入金額が上限80万円までで、その5年間分の運用益が非課税となる
最後に
資産運用を利用して資産を増やすのは非常にいいことですが、資産運用の利益に対しても給料と同じように所得税や住民税がかかります。特に対策をしていないと所得税と住民税合わせて約20%が税金として徴収されることもあります。これは利益に対する5分の1なので、お給料で考えると週5日の労働のうち、1日は税金の為に働いていることになります。
NISAは国が用意している非課税制度で、利用する上でのデメリットは特にありません。ただし利用可能な期間は定められているので、上手に利用して資産を増やしていきましょう。














